4割超が“退職願”もオンライン化!デジタル化時代の社員対応とは?
ある調査では、退職願について「オンラインでの提出でも構わない」と回答した人が4割を超えました。
特に若年層ではその傾向が顕著で、もはや「紙での提出=常識」ではないという認識が必要かもしれません。
中小企業では、日常的なやりとりを口頭や紙で済ませてきた会社も多いですが、従業員の世代交代に伴い、その方法を見直すタイミングが来ているのかもしれません。
しかし、退職願の扱いは法的にも重要ですから、オンライン提出を受け付ける場合は、記録性・本人確認などをしっかり担保することが前提となります。
世代差に注目:10~20代は面接で5割超
「オンライン化」に対する許容度は、若い世代ほど高くなっています。
たとえば10〜20代では「就職面接」といった重要な場面でも、5割以上が「オンラインでも問題ない」と答えています。
このことは、採用や教育の現場に直結します。
若手の応募者にとって、Web面接はむしろ標準的な選択肢でもあり、紙の履歴書を求められることや、手渡しでの辞令交付などに違和感を覚える人も増えてきます。
今後は、対面とオンラインのハイブリッドな対応がとれることが、採用競争力をアップするポイントにもなりそうです。
デジタル化のメリット:情報感度アップ・趣味や時間活用の多様化
デジタル化がもたらす最大の利点は「自由度の拡大」です。
オンラインでの情報取得やコミュニケーションが容易になり、仕事以外の活動—例えば副業、自己学習、趣味など—に使える時間が増えたと感じる人も少なくありません。
中小企業にとっては、限られた人材をより有効に活かすチャンスでもあります。
社員が「どこでも働ける」「いつでもアクセスできる」環境を整えることで、働き方の柔軟性や定着率の向上が期待できます。
デジタル化のデメリット:ストレス増・自己肯定感や人間関係の分断
一方で、調査では「デジタル化によりストレスが増えた」と答える人も少なくありませんでした。
画面越しのやりとりによる孤立感、オン・オフの切り替えが難しいリモートワーク環境などが原因です。この辺は、コロナ禍を経験した今では感覚的にもよくわかるのではないでしょうか?
企業側は「便利さ」だけでなく、こうした心理的影響も念頭に置いた対応が求められます。
例えば、定期的な対面のフォロー面談や、社員同士の非業務的なコミュニケーション機会の設計なども重要です。
中小企業の人事・労務対応視点:オンライン化の進め方と注意点
オンライン化を社内制度に取り入れるには、次のようなステップを意識するとスムーズです。
① 就業規則の見直し
「電子的な退職届の提出を認める」「Web面接を導入する場合のフロー」などを明文化。
② 本人確認の手段を明確に
メールだけで済ませず、ビデオ通話や電子署名などの手段で本人確認を行う体制を整備。
③ 説明責任と情報共有
変更点を全従業員に丁寧に説明し、誤解のないように段階的に導入。
特に小規模事業者は、「社長の一存」で動いてしまうケースもありますが、労務リスクを避けるにはルールの明文化が不可欠です。
まとめ:DX対応と働きやすさの両立に向けた実務ポイント
生活や価値観のデジタル化は、すでに一部の従業員の“前提”となっています。
中小企業こそ、こうした変化に柔軟に対応できる機動力を持っており、それを強みに変えていくことができます。
オンライン化を単なる“コストカット”や“時代の流れ”で終わらせるのではなく、
社員が「働きやすい」と感じる仕組みとして、ルール整備・風土づくりに取り組んでいくことが、今後ますます重要になるでしょう。

人事組織コンサルタントとして『ヒト』に関する課題の克服にも尽力。
経営理念の作成・浸透コンサルティングを得意とし、人事評価制度の作成や教育研修講師も含め、企業組織文化の醸成に取り組む。
経営理念に関する電子書籍を多数出版。
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