若手社員のモチベーション低下を防ぐために中小企業が今すぐ見直したい評価フィードバックとは
正社員の5人に1人が経験する「六月病」とは
6月になると、新入社員や若手社員の元気がなくなったり、欠勤や遅刻が増えたりすることがあります。
株式会社マイナビが実施した「六月病と評価フィードバックに関する調査2026年」によると、正社員の19.8%、つまり約5人に1人が現在の職場で「六月病」を経験したと回答しています。特に20代では27.6%と高く、4人に1人以上が経験している計算になります。
六月病とは、新年度の緊張感が落ち着いた6月頃に、疲労感やモチベーション低下、気分の落ち込みなどを感じる状態を指します。医学的な診断名ではありませんが、多くの企業で実際に見られる現象です。
中小企業においても、「最近なんとなく元気がない」「仕事への意欲が下がっているように見える」と感じる社員がいる場合、その背景には六月病が隠れている可能性があります。
六月病が起こる4つの原因
今回の調査では、六月病のきっかけとして主に4つの要因が挙げられています。
新年度の環境に慣れたことで不満が見えてくる
入社や異動直後は緊張感があるため、不満や違和感を感じても表面化しにくい傾向があります。
しかし数か月が経過すると、
・職場の人間関係
・仕事の進め方
・会社のルール
・上司との相性
などが見えてきます。
「こんなはずじゃなかった」というギャップが生じることで、モチベーションが低下するケースがあります。
賞与や評価への不満
調査では「仕事や評価に満足できない」「ボーナスが思ったより少なかった」といった声も多く見られました。
特に若手社員は、自分なりにがんばったつもりでも、その努力がどのように評価されたのか分からないと不満を抱きやすくなります。
評価結果だけを伝えられても納得感は生まれません。
「なぜその評価になったのか」
を理解できることが重要です。
祝日が少なく疲労が蓄積する
4月の新年度、5月の連休を経て、6月は祝日がありません。
業務の疲れが蓄積しやすく、リフレッシュの機会も少なくなるため、心身ともに疲労を感じやすい時期です。
梅雨による気候の影響
気圧の変化や湿度の上昇によって、
・頭痛
・倦怠感
・睡眠の質の低下
などが起こることもあります。
本人の努力不足ではなく、季節的な要因が影響しているケースも少なくありません。
六月病によって職場で起こる変化
六月病経験者に見られた変化として、
・疲れやすくなった
・仕事へのやる気が出ない
・気分の落ち込みや不安が増えた
・出社が億劫になった
などが挙げられています。
経営者や管理職から見ると、
「以前より元気がない」
「報告が減った」
「反応が鈍くなった」
といった形で現れることが多いでしょう。
ただし、これは本人の能力や意欲の問題とは限りません。
早い段階で変化に気づき、声を掛けられるかどうかが重要になります。
評価フィードバックの有無が納得感を左右する
今回の調査で特に注目したいのが評価フィードバックに関する結果です。
評価に納得感がある社員ほど、上司から丁寧なフィードバックを受けている傾向が見られました。
一方で、評価への納得感が低い社員の多くは、
・評価結果のみ伝えられる
・評価理由の説明がない
・そもそも結果すら共有されない
という状況でした。
中小企業では評価制度そのものよりも、
「日頃のコミュニケーション」
「評価理由の説明」
が不足しているケースが少なくありません。
社員は必ずしも高い評価を求めているわけではありません。
自分の努力を見てもらえていることや、今後何を改善すればよいかを知りたいのです。
六月病対策は評価制度よりも対話が重要
社会保険労務士として多くの企業を見ていると、六月病の背景には「評価制度の問題」というよりも、「上司と部下のコミュニケーション不足」が存在しているケースが多くあります。
特に中小企業では、「人数が少ないから話せているはず」と考えがちですが、実際には業務連絡だけで終わっていることも少なくありません。
社員は評価そのものより、
「自分を見てくれている」
「期待されている」
「成長を応援してくれている」
という実感を求めています。
評価面談を年1回行うだけではなく、月1回でも短時間の面談を実施し、現状の悩みや不安を聞く機会を設けることが離職防止につながります。
六月病は単なる季節的な不調ではなく、組織のコミュニケーション課題を映し出すサインとして捉えることが大切です。
ワンポイントアドバイス|6月に実施したい15分面談
六月病対策として最も効果的で、かつすぐに実践できる方法は「15分面談」です。
特別な制度や予算は必要ありません。
以下の3つの質問をするだけでも効果があります。
①今の仕事で困っていることはありますか
②最近うまくいっていることは何ですか
③会社や上司にサポートしてほしいことはありますか
このとき重要なのは、アドバイスをすることよりも、まず話を聞くことです。
特に若手社員は「相談しても仕方ない」と感じると本音を言わなくなります。
6月は新年度の疲れが表面化しやすい時期です。
だからこそ、評価結果を伝えるだけではなく、評価の背景や期待を伝える対話の機会を設けてみてください。
社員の納得感や安心感が高まり、結果として定着率向上や生産性向上にもつながるでしょう。
人事組織コンサルタントとして『ヒト』に関する課題の克服にも尽力。
経営理念の作成・浸透コンサルティングを得意とし、人事評価制度の作成や教育研修講師も含め、企業組織文化の醸成に取り組む。
経営理念に関する電子書籍を多数出版。
»出版・メディア実績
