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小規模事業場でも必須に!ストレスチェック制度の義務化と実践事例

50人未満の事業場も対象に―ストレスチェック制度の義務化の背景

2025年5月14日に公布された改正労働安全衛生法では、常用労働者50人未満の事業場にもストレスチェックと高ストレス者への面接指導を義務化することが盛り込まれました。公布から3年以内に施行予定です。従来のストレスチェック制度は、50人以上の事業場を前提としており、小規模事業場では実施のハードルが高いという声がありました。

これを受けて、厚生労働省のストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会では、「小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル作成ワーキンググループ」を立ち上げ、第1回会合が開催されました。新マニュアルでは、少人数の事業場でも現実的に実施可能な体制や方法、プライバシー保護のポイントなどが整理される予定です。また、資料として提示された「小規模事業場等におけるストレスチェック制度の取組事例」も、今後の実務運用の参考になります。

まずは外部委託から始める小規模事業場のストレスチェック

ストレスチェック制度は従業員の心の健康を守る重要な取り組みですが、従業員数が少ない事業場では、社内だけで対応するのは難しい場合もあります。そんなときは、外部委託が効果的です。

・製造業28名の事例では、毎年依頼している健康診断機関のサービスを活用して実施。

・従業員7名の事例では、産業医契約や健康相談がセットになった産業保健サービスを利用し、安心してストレスチェックを実施しています。

外部委託により、専門知識がなくても制度を運用でき、従業員が結果を適切に確認できる点がメリットです。小規模事業場にとって、信頼できる外部機関の活用は制度成功のカギになります。

従業員に合わせた受検方法の工夫

従業員がストレスチェックを受けやすくするには、環境に応じた実施方法が重要です。

・WEB方式:メールアドレスを持つ従業員は、WEB上で受検し、個人結果をすぐに確認可能。情報通信業82名の事例では、ほぼ全員が毎年受検しています。

・紙方式:製造現場やパソコンが苦手な従業員には、紙の質問票を使用。教育・学習支援業250名の事例では、安心して回答できる方法として活用されました。

・QRコード方式:宿泊業166名の事例では、自由な時間に回答できるようにQRコードを利用したWEB実施に切り替えています。

従業員の業務形態やITリテラシーに合わせた柔軟な実施方法が、受検率の向上につながるでしょう。

集団分析から職場改善へ

ストレスチェックの価値は、個人結果だけでなく集団分析を通じた職場改善にもあります。

・技術サービス業115名の事例では、各部門長が集団分析結果を共有し、業務量の見直しや効率化を実施。

・鉱業86名の事例では、夏場の高温による負担が判明し、スポットクーラーを設置。

・製造業82名の事例では、工場棟・事務棟の遮熱塗料塗装、照明のLED化、休憩室の整備など、設備改善を実施。

このように分析結果を基に具体策を講じることで、従業員が安心して働ける環境が整いますね。

高ストレス者への対応

高ストレス者への面接指導も重要です。産業医選任義務のない小規模事業場でも、外部機関や地域産業保健センターを活用して対応可能です。

・建設業15名の事例では、ストレスチェックを契機に「心の健康づくり計画」や「職場環境改善計画」を策定。

・製造業28名の事例では、健康診断機関の医師による面接指導の後、勤務体系を調整。

迅速な対応により、従業員の安心感が高まりました。

実務ワンポイントアドバイス

今回の改正で、小規模事業場にも義務化されるストレスチェック制度は、単なる義務ではなく、従業員の健康管理と職場環境改善を同時に進める重要な取り組みです。
外部委託や柔軟な受検方法、集団分析結果の活用、そして高ストレス者への早期対応を組み合わせることで、小規模事業場でも実効性のある制度運用が可能です。

  1. 外部委託先の選定
     ストレスチェックだけでなく、健康相談や面接指導までセットのサービスを選ぶと安心です。

  2. 受検方法の工夫
     従業員のITリテラシーや勤務形態に合わせて、WEB・紙・QRコードなどを組み合わせると定着率が上がります。

  3. 集団分析を職場改善に活用
     業務量や設備環境など、分析結果を基に具体策を実施することで、従業員の安心感と働きやすさが向上します。

  4. 高ストレス者への迅速対応
     外部機関を活用して面接指導を行い、必要に応じて勤務体系や環境を調整することが大切です。

まとめ

小規模事業場でも、ストレスチェック制度は外部委託を活用することで十分に実施可能です。従業員に合わせた受検方法、集団分析を活用した職場改善、高ストレス者への対応を組み合わせ、義務化に向けた準備を進めましょう。まずは、信頼できる健康診断機関や産業保健サービスを活用し、できる範囲から実践することが重要です。

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