医療・介護・保育の離職率・定着率を徹底解説!中小企業の採用コストとリスク対策
医療・介護・保育業界では、人手不足が深刻で、採用や定着にかかるコストが経営に直結します。
厚生労働省は2023年度の職種別平均手数料と、2022年度の離職率を公表しました。
離職率と定着率を正しく理解することで、採用戦略の見直しや定着支援施策の検討に役立ちます。
本記事では、中小企業の経営者が知っておくべき最新データと、実務で活用できるポイントを解説します。
職種別離職率と定着率の最新動向
全国平均の職種別離職率は以下の通りです。
・介護:15.3% → 定着率84.7%
・保育:12.2% → 定着率87.8%
・看護:10.5% → 定着率89.5%
・医師:3.0% → 定着率97.0%
地域別では、介護職は10ブロック中6ブロックで最も離職率が高く、保育職は北海道・北関東・甲信・東海で、看護職は四国で離職率が高い傾向です。
具体例:北海道の保育職離職率は全国平均を上回る15%前後で、10人採用しても約1~2人は1年以内に辞める計算になります。定着率を意識した入社後のフォローが重要です。
職業紹介手数料と採用コストの関係
全国平均の職業紹介手数料は以下の通りです。
・介護:55.1万円
・看護:63.9万円
・保育:64.6万円
・医師:82.4万円
注意点:手数料が安い介護職でも、離職率が高い場合は再採用コストがかさみ、結果としてトータルコストは高くなることがあります。採用→教育→定着までをセットで考えることが、中小企業にとって重要です。
離職率・定着率の活用ポイント
データからわかることは、医療・介護・保育の人材は「採用が難しく、定着も課題がある」ということです。
中小企業では、以下の点がポイントです。
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職種別の離職率を把握:介護職や保育職は特に離職率が高く、採用計画を練る際には定着率を見込んだ人数で計画することが必要です。
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地域別の定着率を意識:地域ごとの定着率の差は採用戦略に直結します。離職率の高い地域では複数の紹介事業者や柔軟な勤務条件の活用を検討すべきです。
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紹介事業者の実績確認:定着率を高めるフォロー体制や教育支援のある事業者を選ぶことで、採用後の離職リスクを減らせます。
実務ワンポイントアドバイス
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入社後3~6ヶ月の定期フォローで定着率向上
例:面談やOJTで現場の課題や不安を吸い上げるだけでも離職率は改善します。 -
採用人数を離職率から逆算する
例:離職率15%の介護職で5人の定員を確保したい場合、6人以上採用する計画にするなど、離職率を考慮した採用が必要です。 -
紹介事業者は定着実績で選ぶ
手数料の安さだけで判断せず、「過去の定着率」や「フォローサービスの有無」を確認しましょう。 -
採用コスト=手数料+再採用コスト
手数料が安くても離職率が高ければトータルコストは高くなります。離職率と定着率をセットで把握し、採用戦略を設計しましょう。
特に介護・保育・看護職は職種・地域ごとに離職率が異なるため、単純に手数料で判断せず、定着率を意識した採用・教育戦略が経営の安定につながります。
採用→教育→定着までを一連の流れで設計することが、中小企業の限られたリソースでも人材確保を成功させる鍵です。

人事組織コンサルタントとして『ヒト』に関する課題の克服にも尽力。
経営理念の作成・浸透コンサルティングを得意とし、人事評価制度の作成や教育研修講師も含め、企業組織文化の醸成に取り組む。
経営理念に関する電子書籍を多数出版。
»出版・メディア実績